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そよちゃん。 名前を呼ばれる。わたしの肩を枕代わりにして深い眠りに落ちているはずの燈ちゃんに。 返事をしたところで、その言葉が彼女に届くことはないだろうから、ただ寝顔を見守る。どんな夢を見てるのかな？ 聞くところによると、燈ちゃんは新曲の作詞がまったく捗らなくて、ここ数日、随分と夜更かしをしてしまっていたらしい。 やたら燈ちゃんを心配してそわそわしてる立希ちゃんの発案で、バンド練を早めに切り上げたところまでは、まあ別によかったんだけど、なぜかわたしの家で夕食をとることになって。 次のライブに向けての打ち合わせという名のまったりタイムの只中、燈ちゃんはソファに腰掛けて、なぜかわたしの隣で、すとんと音を立てるようにして眠りに落ちてしまったのだった。 しばらくの間、楽しそうに彼女の寝顔を見守っていたみんなも、とうに家路に着いて。わたしのスマートフォンはテーブルの上の手の届かないところにあって。 雨音と燈ちゃんの静かな呼吸音だけが、広すぎる部屋の中に響いていた。わたしと燈ちゃんだけがこの世界に取り残されてしまったみたいだな、と思う。 |
保存時刻:2025/05/24 00:28:35
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