壁掛け時計の短い針が一周してしまった頃、燈ちゃんのちいさな頭は、わたしの肩から太ももへと滑り落ちた。
受け止めようとはしたんだよ。間に合わなかっただけで。
ああ、さすがに起こしちゃったかな。
心配するわたしを背に、彼女は何事もなかったかのように、わたしの膝枕の上で寝息を立てている。寝返りをうつ。わたしの下腹部に顔をうずめるような格好。
くすぐったいし、恥ずかしいんだけど。いつになったら起きてくれるの。ねえ、燈ちゃん。
なんとなく彼女の髪を撫でてみる。おそるおそる、できるだけやさしく、できるだけゆっくりと。膝の上で丸くなってしまった猫を撫でるようなやりかた。
お皿、洗わなきゃなあ。洗濯機も回したいんだけど。

燈ちゃん。
ささくような声で、呼びかけてみる。
反応はない。どうやら、彼女はまだ夢の中にいたいらしい。
燈ちゃんの指がわたしの指を絡めとる。ソファが、ギッという音を立てる。
ため息が漏れて。
いっそのことわたしも眠ってしまおうかと強引に目をつむってみる、けれど。
意味もなく、時計の秒針を目で追う。
窓を伝ってゆく雨粒を眺める。
彼女の寝顔。体温。呼吸。
わたしの心臓の音。
遠くでメッセージアプリの通知音が鳴る。きっと、立希ちゃんからだ。
ああ、あのんちゃんが忘れ物をとりに戻ってきてくれないかな。
わたし、やっぱり燈ちゃんのこと、苦手だな。

そうこうしているうちに、わたしはいつのまにか眠りに落ちてしまっていた。
目を覚ますと、わたしの肩には燈ちゃんが着ていたカーディガンがかけられていて。でも、彼女の姿はどこかへ消えてしまっていて。
探しにいかなきゃ。
でも、わたしはまどろみを振り払えずに、そのまま、ソファに沈み込む。ここにはまだ、燈ちゃんの匂いと温もりが残っている。
何分後か、何時間後かは、最早わからないけど。
わたしのもとに足音が近づいてくる。ソファが沈んだ。燈ちゃんだ。
髪を撫でられて、頬を撫でられる。随分と長いあいだ、やさしく、ゆっくりと。
間をおいて、わたしの耳に、頬に、唇に、熱をもったなにかが、何度かふれる。ふれる。くすぐったいよ。ねえ。
「燈ちゃん」
名前を呼ぶ。
わっ。という大きな声をあげて飛び退いた燈ちゃんがなんだかおかしくて、思わず頬が緩んでしまったけれど、ああ、耳がキーンとする。
「ごめん、なさい……」
「そよちゃん、もう起きないかも、って思ったら、こわくなって……」

ベランダに出て、わたしたちは夜空を眺めていた。星も月もほとんど見えないけれど。
長く降り続いていた雨は、いつの間にか止んでいた。雨雲たちは、夜風にちぎられ、夜空に溶け出して、徐々に消えてゆく。
「燈ちゃんはどんな夢をみてたの」
ふたりともどことなくまだ夢うつつで、わたしたちだけがこの世界にいるみたいだった。
「おぼえてない。けど……あたたかくて、やわらかくて、そよちゃんの匂いがして」
彼女の髪が、ゆらりと夜風に踊る。きれいだなと、素直にそう思う。
「新曲、書けそう？」
「わからない、けど……がんばる」
いつものようにゆったりと言葉を紡いで、彼女はまたわたしの肩にもたれかかる。
「そよちゃんの肩、また借りてもいいかな」
だめ、ではないけど。
いつものようにわざとらしくため息をついて、返事をした。
「たまになら、ね」

「燈ちゃんは、帰らなくても大丈夫なの」
「もうすこしだけ」
「だめ、かな……？」
ずるい、と思う。
こんな夜道を彼女ひとりで家路に着かせるのは違う気がして、泊まっていけば？という言葉が喉まで出かかる。バカみたい、ほんとに。
「そよちゃん、あのね」
ふいに抱きよせられて、ふいに顔を寄せられて、思わず身構えてしまう。額を合わせられて、目と目が合って。わたしとは違うきれいな瞳。
「ありがとう」
「きょうも、いままでも、これからも」
実直な感謝や好意を寄せられたときに、どういう表情をして、どういう言葉を返せばいいのか、わたしにはよくわからなくて。特に、燈ちゃんに対しては。
「……何か淹れてくるね」
「カフェモカ。デカフェの、あるから。それでいいかな」
迷いに迷った挙句、できるだけそっけなく言い残して、わたしは立ち上がったのだった。
きっといま、わたしの頬も耳も真っ赤だろうな、なんてことをぼんやりと考えながら。

やさしいそよともはケンコウニイイ！

素晴らしい物語をありがとう…

良い感じのしっとり感

じれってーな！俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます！

>やさしいそよともはケンコウニイイ！
ともそよ…！

りっきーはさあ…

急にしっとりそよともありがたい…

このしっとりした感じがたまんねえ

デンが攻めにまわれるカプはあるのだろうか…

ともそよって割と全てを破壊するカプじゃない…？

いい…すごくいい…

>じれってーな！俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます！
撃て

アワアワしてる立希ちゃん想像しただけで笑っちゃう

>ともそよって割と全てを破壊するカプじゃない…？
それはそう

ともそよは公式がめっちゃ推してくれてるのにオタクの人気がいまいちなの悔しい

>ともそよは公式がめっちゃ推してくれてるのにオタクの人気がいまいちなの悔しい
でもよぉ…ともそよ怪文書投げるたびに思うけどともそよ公式ピクチャーって全然ないのよ…

それに関してはこう…あのちゃんが強キャラすぎるとしか…

>でもよぉ…ともそよ怪文書投げるたびに思うけどともそよ公式ピクチャーって全然ないのよ…
ガルパ専用イベントまであって無いことある？

ママじゃん…