（『なんで処女じゃないんですの！』
　思い返せば、おかしなことばかりだった。燈の誘い方はやけにこなれていたし、私と違ってまごつくこともなかった。少し照れたような表情も。服を脱ぐしぐさも。
　『いえ、そうですわよね……燈はとても魅力的ですし、そんな経験くらいあって当然ですわ……』
　『さ、祥ちゃ』
　『ですが私は燈がそういう子でないと思って……いえ、そうであってほしくなかったというか……燈には、なんでもないことなのでしょうけれど』
　こんなこと、言うつもりないのに。燈がひどく傷ついた顔をしている。そのまま、ぽつりぽつりと話し始めた。
　『祥ちゃんが、バンド辞めてから……寂しくて……』
　私のせい？　大切な燈たちを巻き込むわけにはいかないと行動した結果がこれ？　……こんなこと、あっていいはずがありませんわ。
　『なんで処女じゃ）
「豊川さん！！」
「ひゃあっ！？」
　な、何事ですの！？　目の前に……先生の顔。つまりここは……教室……？
（となると、今のは夢……？）
「豊川さん。忙しいと思いますし、疲れているのはわかりますが、教室でそういうことを叫ぶのは、ちょっと……」
　……なんでこうなるんですの〜！！