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「私たちってよく外の自販機コーナーとか、このベンチを使ってるじゃないですか」 「昼休みは大体そうかも」 「椅子とかクッションでも用意しますか？」 「はあ？」 柔らかな陽が木漏れ日として降り注ぐ中庭。風で木の影が揺れるベンチの上で、海鈴と立希の二人は隣り合ってジュースのパックを傾けている。 「いつもの場所が、さらに居心地良くなればと……」 「こっち来る度にわざわざ持ってくるわけ？」 「ベンチの下とか、隅っこに置いておけば良いんじゃないですか？」 「はああ？もっとダメでしょ、学校に勝手にそんなの」 無表情のまま突拍子もない提案をする海鈴に、あからさまな呆れ顔を向ける立希。 「少しくらいなら……」 「ていうか、他に何にもいらないでしょ」 珍しく引き下がらない様子の海鈴に、立希がぴしゃりと言い切る。言葉を詰まらせる海鈴の顔を見ながら、立希はゆっくりと笑みを浮かべる。 「──海鈴が隣にいれば、それだけでいい」 |
保存時刻:2025/10/17 19:51:39
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