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「立希さんはまだ照れが残っていますね」 「はああ？いきなり何？」 ある日の海鈴の自室。ベッドに腰掛けてベースの手入れをする海鈴が、タブレットで作曲作業をする立希に話を振る。 「Webラジオを聞いていて思うのですが立希さんはもっと肩の力を抜くべきかと」 「……」 「よそ行きの顔を作るのも大事だと思います、長崎さんを見習っては？」 「あいつはなあ……」 バンドメンバーの、日頃よく目にする雰囲気のスイッチングを思い出して、複雑な表情を浮かべる立希。海鈴は口元をわずかに緩めながら話を続ける。 「でも長崎さんにいじられている時の立希さんは可愛らしくて最高でした、ああいう面をもっと見せていくといいかもしれませんね」 「海鈴お前はどこ目線で言ってるわけ？」 「私も立希さんの素敵な部分を皆さんに知ってもらいたいんです」 「はあ……」 軽いため息を吐くと、立希は海鈴へ距離を詰める。立希の手のひらが海鈴の頬に優しく触れると、表情の奥にある強張りが解けていく。 「──毎回、嫉妬する海鈴をなだめる方の気持ちも考えて欲しいんだけど？」 |
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