|
「なかなか重いですね、これは」 床に突き立てると、カン、と金属音が鳴る。 次のライブで使用する小道具…剣を弄びながら、私は豊川さんに話しかけます。 「殺陣をする予定はありませんが、持って振り回せる程度には軽くしてもらいました」 「そうでしたか。確かに、ただ持つだけなら問題なさそうです」 4人の騎士と女神、というこれまでと大きく変わった劇になるようで、殺陣もあるのかと身構えていたので少々拍子抜けです。 私のそんな様子が伝わってしまったのか、豊川さんは苦笑しました。 「万が一にも怪我をさせるわけにはいきませんもの。私達はあくまでもバンドですわ」 「流石です」 「…不満ですか？」 なぜそう思われるのでしょうか。 それではまるで私がやんちゃな子供のようではないですか。 「いえ…それよりもなぜ、ここまで大幅な設定の変更をしたのか、気になりまして」 「ふうん…？」 まだ疑っているような目で私をじっと見て、豊川さんは語りかけるように話し出します。 |
保存時刻:2025/04/08 00:43:36
19 レス / 0.1 MB
/ 1 files